新規なアポトーシス誘導因子であるPerchloric acid-soluble protein(PSP)の翻訳阻害作用は本実験では認められなかった。PSPのC末端側に存在するIEIEAIAV配列は核外移行シグナルとして機能し、N末端、C末端側はそれぞれ核の異形、細胞死誘導抑制に関わる可能性を見いだした。Two hybrid screeningによってPSPと相互作用する蛋白質の遺伝子が得られた。HRPTについて検討した結果、PSPと結合するが、HRPT酵素活性にPSPは関与しなかった。PSPに対する新たな抗体作製がきっかけとなり、PSPが複数の高次構造をとることを明らかにした。PSPは肝臓組織中で3量体として存在し、蛋白質分解酵素に対して抵抗性があるが、培養細胞中PSPは単量体、もしくは3量体よりも大きな構造をとっており、蛋白質分解酵素に対する抵抗性は低い。このような高次構造変化がPSPの多彩な性質に調節に関与している可能性があるが、生理的な意義等詳細は今後、検討されなければならない。
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