本年度は、新規生理活性ペプチド、ニューロメジンSならびにその同族と考えられるニューロメジンUがどのような生理作用を持つのかを明らかにすることを目的にし、研究を行った。 その結果、ラットにおいて食餌時間を毎日決まった時間の2時間に制限する制限給餌を行うと、食餌時間の直前に誘発される予知行動の中枢と考えられている、視床下部腹内側核(DMH)に食餌時間に合わせてニューロメジンUの発現が増加することがわかった。そこで、ニューロメジンUノックアウトマウスを用い、制限給餌を行うと野生型マウスでは誘導される予知行動が、ニューロメジンUノックアウトマウスでは現れにくいことがわかった。また、その状態でマウス側脳室にニューロメジンUを投与すると予知行動が出現した。また、制限給餌下で予知行動が出現しにくいニューロメジンUノックアウトマウスは制限給餌下での死亡率が有意に高かった。ニューロメジンSノックアウトマウスではこのような現象は見られなかった。 以上の結果より、制限給餌における予知行動のメカニズムにニューロメジンUが深く関わっていることが考えられた。ニューロメジンUは摂食調節作用、体内時計調節作用を有することを我々は明らかにしている。今回の結果と合わせて考えるとニューロメジンUが摂食行動と体内時計を結びつける働きがあることが示唆された。
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