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2008 年度 実績報告書

新しい小脳形成不全疾患モデルであるヘルペスウイルス遺伝子導入マウスの分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 19780222
研究機関北海道大学

研究代表者

富岡 幸子  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (50374674)

キーワードヘルペスイルス / トランスジェニックマス / 小脳形成不全 / 神経病理学 / 獣医学
研究概要

研究代表者は転写調節因子等のウイルス蛋白質が宿主細胞の恒常性を破綻させ病原性が発揮される機構を発生工学手法によって解析している。ブタヘルペスウイルス1型(仮性狂犬病ウイルス : PRV)は動物に重篤な神経症状を引き起こすため、獣医学領域で極めて重要なヘルペスウイルスである。また、PRVはヒトに多様な病態を引き起こす単純ヘルペスウイルスと近縁であることから、医学領域においても比較解析や神経科学のツールとして認識されている。本研究の目的は、PRVの前初期蛋白IE180をマウス生体に発現させた場合に発現する病態を解析し、ヘルペスウイルス蛋白質が作用する宿主分子を探索することである。これまでに、IE180を発現するトランスジェニックマウス(TgIE180マウス)は小脳形成不全を呈し、IE180が小脳の発生に影響を与えることが示唆されている。本年度、さらに詳細な病理組織学的解析を行ったところ、IE180は胎児の器官形成期から発現し、発現細胞は変性・細胞死に陥ることが明らかになった。また、野生型マウスでは蛋白質分解経路で選択的に分解されるp62蛋白質がTgIE180マウスの神経細胞では異常凝集していること、超微形態学的解析では異常なリソソームの集積が認められることが明らかになった。これらの成績から、1)TgIE180マウスの病態発現においてグリアの傷害による細胞移動異常に加えて、蛋白分解の異常を伴う神経細胞の変性・細胞死が重要な意義を持つこと、2)IE180が細胞の恒常性維持に重要な蛋白質分解経路に関連する何らかの宿主分子に作用し、異常蛋白質の蓄積を促進することが推察された。今後は、異常蛋白質の分解に機能して細胞の恒常性維持に働く宿主分子とIE180の相互作用に焦点を絞って解析を進める予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Fusion protein consisting of the first immunoglobulin-like domain of porcine nectin-1 and Fc portion of human IgG1 provides a marked resistance against pseudorabies virus infection to transgenic mice2009

    • 著者名/発表者名
      Tomioka. Y. et.al.
    • 雑誌名

      Microbiol. Immunol. 53

      ページ: 8-15

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cerebellar pathology in transgenic mice expressing the pseudorabies virus immediate-early protein IE1802008

    • 著者名/発表者名
      Tomioka. Y. et.al.
    • 雑誌名

      Eur. J. Neurosci. 27

      ページ: 2115-2132

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Microphthalmia and lack of vitreous body in transgenic mice expressing the first immunoglobulin-like domain of nectin-12008

    • 著者名/発表者名
      Yoshida. K. et.al.
    • 雑誌名

      Graefes Arch. Clin. Exp. Ophthalmol 246

      ページ: 543-549

    • 査読あり

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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