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2007 年度 実績報告書

脳炎フラビウイルスの神経侵入性に関わる要因の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19780230
研究機関(財)東京都医学研究機構

研究代表者

早坂 大輔  財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主任研究員 (10346926)

キーワードウイルス / 感染症 / 獣医学 / 脳神経疾患 / 免疫学
研究概要

脳炎フラビウイルスの病原性発現機序に関わる要因を明らかにするために、ダニ媒介性脳炎ウイルスをマウスに感染させたモデルを用いた解析を行った。
接種量を変えてマウスに皮下接種したところ,10^2PFU接種量以上のすべてのマウスで発症がみられすべてのマウスの脳からウイルスが検出された。ところが,致死性は接種量に依存せず10^2-10^6PFU接種では40-60%,10^7PFU以上では80-90%の致死率であった。これらの結果からマウスが死に至る過程で病原性発現には少なくても2つの異なる機序が関与していることが示唆された。
10^7PFU以上の皮下接種マウスは感染後7〜10日の早い時期に死にはじめ,脳でのウイルス増殖のピークと死の時期が重なった。脳・脊髄でのウイルス増殖は10^2-10^6PFU接種の場合より高く,さらに早い時期に大脳皮質の広範囲の神経細胞にウイルス感染がみられたことから,急性の脳炎,特に直接のウイルス感染による神経系のダメージが致死性の原因であることが考えられた。
一方,10^2-10^6PFUの皮下接種マウスは感染後12日目以降の遅い時期に死に始めた。その際,脳・脊髄でのウイルス増殖のピークは感染後7-9日目であったため,神経系からウイルスが排除されはじめた後に致死性を示すことが明らかになった。したがって,神経細胞へのウイルス感染が直接の致死性の原因ではないと考えられた。
脳炎フラビウイルスはマウスモデルにおいて致死性が接種量に依存せずLD_50を計算することができないことが1930年代から知られている。ところがその理由は明確に説明がなされていない。本研究で明らかとなった2つの異なる病原性の発現機序は他の脳炎フラビウイルスでも同様にみられると考えられ,致死性が接種量に依存しない機序の解明に役立つものと思われる

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Immunopathogenesis of hantavirus pulmonary sydrome and hemorrhagic fever with renal syndrome: Do CD8+ T cells trigger capillary leakage in viral hemorrhagic fevers2007

    • 著者名/発表者名
      Masanori Terajima
    • 雑誌名

      Immunol Lett 113

      ページ: 117-120

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Increased permeability of human endothelial cell line EA. Hy926 induced by hantavirus-specific cytotoxic T lymphocytes2007

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Hayadaka
    • 雑誌名

      Virus Res 123

      ページ: 120-127

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pathogeneses of respiratory infections with virulent and attenuated vaccinia viruses2007

    • 著者名/発表者名
      Daisuke hayasaka
    • 雑誌名

      Virol. J 4:22

      ページ: 1-14

    • 査読あり
  • [学会発表] ダニ媒介性噛炎ウイルス(TBEV)の接種量、接種ルートの違いによる2種類の病原性発現機序の解析2008

    • 著者名/発表者名
      早坂 大輔
    • 学会等名
      第6回感染症沖縄フォーラム
    • 発表場所
      沖縄
    • 年月日
      2008-02-15
  • [学会発表] ダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)をマウスに皮下感染させた際の接の違いによる病原性発現機序の解析2007

    • 著者名/発表者名
      早坂 大輔
    • 学会等名
      第55回日本ウイルス学会孝術集会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2007-10-23
  • [学会発表] 脳炎性フラビウイルスのマウスモデルにおいて致死性=病原性=神綾侵入性2007

    • 著者名/発表者名
      早坂 大輔
    • 学会等名
      第14回トガ・ララビ・ペスチウイルス研究会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2007-10-20
  • [学会発表] 向神経ウイルスのマウス経鼻感染モデルを用いた病原性美現機序の解析2007

    • 著者名/発表者名
      早坂 大輔
    • 学会等名
      第144回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      江別
    • 年月日
      2007-09-03
  • [学会発表] 向神経ウイルスのマウス経鼻感染モデルを用いた病原性発現機序の解析2007

    • 著者名/発表者名
      早坂 大輔
    • 学会等名
      第4回ウイルス学キヤンプin湯河原
    • 発表場所
      湯河原
    • 年月日
      2007-06-06

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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