研究概要 |
アワはユーラシアで古くから栽培されている作物であり、様々な品種が知られている。また、近年ゲノム解析なども行われている。本研究ではアワ在来品種についての遺伝的多様性を調べる目的で、SSR多型や機能を有する遺伝子のSNPsなどの検出をしてマーカー化するとともに、ゲノムワイドマーカーについても開発を行った。SSRについては前年度学会発表済みである。SNPsについては、モチ・ウルチを制御するWaxy遺伝子についてシークエンスレベルの解析を行い、多型を検出している。SNPs以外にもイントロンにindelなども検出されている。ユーラシア全体で60品種ほどについて解析したところ、ウルチがモチより多型性が高いことや変異に地域性があることなどを見だしている。今後学会発表を行う予定である。また申請者がこれまでに解析してきたrDNA(Fukunaga et al. 1997, 2005, 2006)についても東アジアの隣接するパキスタン、アフガニスタンの品種についての解析を行い学会発表を行った(福永ら2009)。現在他の遺伝子についてもPCR増幅に成功しており多型を調査しようとしているところである。ゲノムワイドなマーカーとしてはトランスポゾンディスプレイを行っている。これについては、申請者らが見出したトランスポゾン(Fukunaga et al. 2002, Kawase et al. 2005)をもとにプライマー設計して行っており既に400品種以上について解析済みであり、学会でも発表している(平野ら2008)。また、これに基づきアワ遺伝資源のコアコレクション作成も試みた(平野ら2009)。また、考古学や品種についての文献資料も収集しており、歴史的な変遷についても検討している。
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