研究概要 |
ユーラシアで古くから重要な穀類であったアワ在来品種の遺伝的多様性と地域品種間の系統関係について、遺伝的なマーカーを使って調査するとともに、農学・考古学・民俗学文献などの収集・調査を行った。 遺伝的マーカーについてはEST-SSR、rDNA,トランスポゾンディスプレー、ワキシー遺伝子の塩基配列多型などについて調査を行った。いずれのマーカーでも多様性に富んでおり、地理的な分化が認められた。rDNAについてはPCR-RFLPに基づき、アフガニスタン・パキスタンの在来品種について詳細な調査を行ってきたが、ユーラシア全域についてPCR-RFLP法を用いてユーラシア全域のアワ在来品種についてより詳細な調査を行った。遺伝的マーカーについてはトランスポゾンディスプレーについては、国際誌に投稿中、アフガニスタン・パキスタンのアワについても国際誌Genetic Resources and Crop Evolutionに近く投稿する予定である。近くアワゲノムシークエンスが米国ジョージア大学のグループにより公表される予定であり、今後の研究のために、これら遺伝資源の多様性について明らかにしておくのは重要なことであったと考えられる。 また、考古学などの成果などをふまえた、アワをはじめとした雑穀類の起源については、Plant Breeding Reviewsに執筆依頼があり、既に執筆済みである。おそらく来年に出版される見込みである。また、日本作物学会から出版される予定の作物栽培学体系のアワの章は執筆中であり、来年にでも出版される予定である。本科研費の成果、それによって収集した資料が生かされる予定である。
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