肝臓で活性化されている遺伝子の40%以上(約1300遺伝子)に転写因子HNF4が結合していることが報告されていることなどから、HNF4の転写制御機構の解明は、肝臓の代謝制御解明に大きな意味を持つと注目されている。しかしながら、HNF4が複数の代謝に関連する遺伝子群をそれぞれのシグナルに応じていかに制御しているのかは全く不明である。本研究では糖代謝に着目し、HNF4を中心とした糖代謝遺伝子の転写制御機構を解明することを目的として実験を行った。 昨年度はマウス個体のイメージング法である「in vivo LUC法」を中心に解析を行った。 Glucose-6-phosphatase遺伝子・Glucokinase遺伝子のプロモーター上に存在するHNF4結合配列に変異を導入したレポーターを作製し、invivoLUC法にて野生型レポーターとの比較を行った。その結果、両遺伝子共に野生型レポーターにおいては絶食・摂食処置に対して発現に変化が見られたものの、HNF4結合配列変異導入型レポーターにおいては、発現の変化が消失もしくは減弱した。これらのことから、HNF4結合配列が両遺伝子における絶食・摂食に応答した発現制御に必要であることを明らかとなった。この結果は、HNF4が絶食・摂食に応答してその転写活性を制御している可能性を示唆していることから、大変意義深い。今後はその分子メカニズムの解明を行っていきたいと考えている。
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