研究課題
肝臓で活性化されている半数近い遺伝子にHNF4の結合が報告されていることなどから、HNF4の転写制御機構の解明は、肝臓の代謝制御解明に大きな意味を持つと考えられる。しかしながら、HNF4が複数の代謝に関連する遺伝子群をそれぞれのシグナルに応じていかに制御しているのかは全く不明である。本研究では糖代謝に着目し、HNF4を中心とした糖代謝遺伝子の転写制御機構を解明することを目的としている。本年度は、HNF4-Foxo1の活性化・抑制化決定機構の解析を中心に解析を行った。Foxo1はG6Pase、GK遺伝子のHNF4転写活性をそれぞれPositive・Negativeに制御している事をこれまでの解析から明らかにしてきた。このFoxo1のHNF4に対するDual FunctionはPromoter依存的である。そこでPromoterのどの配列がFoxo1のHNF4への機能を決定しているのかを明らかにする事を目的に以下の実験を行った。【実験】 : 1、G6Pase遺伝子レポーターにFoxo1結合配列に変異を挿入したレポーター(G6Pase mutFoxo1 LUC : HNF4-dependent promoterとなる)、2、GK遺伝子レポーターにFoxo1結合配列を挿入したレポーター(GK plus Foxo1 LUC : HNF4、Foxo1-dependent promoterとなる)を用いてアッセイを行い、Foxo1のHNF4依存的な転写活性に及ぼす影響を解析した。【結果】 : 1、G6Pase mutFoxo1 LUCではHNF4依存的な転写活性をFoxo1が抑制し、2、GK plus Foxo1 LUCでは相乗的に転写を活性化した。これらのことから、FOXO1がプロモーター配列上のHNF4結合配列、FOXO1結合配列の組み合わせによって遺伝子依存的な効果を発揮していることが明らかとなった。そして、この結果を基に、論文を発表した。
すべて 2008
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J. Biol. Chem. 283
ページ: 32432-32441