研究概要 |
本年度は、19年度に達成したMannoseのC6位から2炭素伸長することによるKdo合成法を利用し、糖鎖合成に適した供与体への変換経路の確立を行った。またコア糖鎖合成に必要な非還元末端オリゴ糖鎖供与体の合成を行った。その結果当初の計画通りのKdo供与体の他に、Kdoの4, 5位と7, 8位に異なる置換基を有する供与体の合成法を確立することに成功した。また計画通りHeptose2糖を含むオリゴ糖鎖供与体の合成を達成した。 今回の研究で得られたKdo供与体は、本研究の目的であるグラム陰性菌が産生する複合糖脂質の酸性内部コア糖鎖合成において、分子間及び分子内グリコシル化の糖供与体として利用可能な重要な鍵化合物である。また計画の大目的である酸性内部コア糖鎖合成におけるKdoのα選択的グリコシル化における分子間、分子内反応を比較検討する材料となる。特にフッ化糖については、アノマー位のフッ素がC1エステル部位の加水分解条件に耐えうることが明らかになったこと。低温下で長期保存に耐えうることが見いだされ、材料供給における化合物の安定性を明らかにした点は重要な成果である。 オリゴ糖供与体合成については、計画通りこれまでに開発してきた合成経路に従って2糖〜4糖の糖供与体へと合成することができた。 また、Kdo合成法の応用として、近年Shewanella属のLPSから単離された8-amino-3,8-dideoxy-manno-octulosonic acidの合成における基礎条件を確立することができた。
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