平成19年度は、原子効率100%の触媒的不斉反応として、4置換炭素構築型触媒的不斉アミノ化反応、触媒的不斉ニトロアルドール反応、触媒的不斉マンニッヒ型反応の検討を行った。最終的な不斉触媒の動的アロステリック制御を志向し、触媒としては希土類金属/アミドリガンドからなる触媒系を積極的に検討した。本触媒系は触媒的アミノ化反応に奏功し、得られた生成物は糖尿病性合併症治療薬の有望な治療薬として臨床第3相試験中であるAS-3201の効率的触媒的不斉合成に多大な貢献をした。またリガンドチューニングにより、世界的に例が非常に少ないanti選択的な触媒的不斉ニトロアルドール反応の開発にも成功した。さらに、本触媒系は触媒的不斉マンニッヒ型反応に極めて有効であることが明らかとなり、世界で唯一のanti選択性を示すシアノケトンの媒的不斉マンニッヒ型反応の開発にもつながった。本反応において、触媒コンポーネントのダイナミックな平衡状態が明らかとなり、来年度、本反応をベースとしたアロステリック制御型の反応を展開する計画である。
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