Dysiherbaineに関してはトリ-0-アセチル-D-ガラクタルを出発原料とし、アセトキシ基を還元的に除去しアセチレンカップリングにより増炭した後、Donohoeらの分子内アミノヒドロキシル化によりピラン環部の官能基を位置及び立体選択的に導入した。官能基変換の後、プロパルギルアルコール単位の立体選択的ヨウ素化に続くクロスカップリングによりアミノ酸単位を導入し、Sharplessエポキシ化と続く5-exo環化によるC4位4級中心の立体選択的構築の後、加水分解をイオン交換樹脂による脱塩精製を経てDysiherbaineの全合成を達成した。本合成はDysiherbaineの全不斉炭素の立体中心を完全に制御しており、本天然物の量的供給を可能とするものである。 Kaitocephalinに関しては研究計画に示したTsuji-Trost型反応による4置換炭素を含むピロリジン環法について検討を行い、Sharpless不斉エポキシ化を経て合成した光学活性エポキシドをDMF中、触媒量のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムと一当量のトリエチルアミンと共に70℃で加熱する条件において、高収率、高エナンチオ純度でピロリジン環を得ることに成功した。さらにそれを起点として、立体選択エポキシ化、カルバメートの分子内環化、官能基変換を経てkaitocephalinの右側鎖を立体選択的に構築した。今回確立したピロリジン環構築法は光学活性含窒素複素環合成の新たな戦略となる。
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