研究概要 |
1.種々の置換基RをもつピリジンN-オキシド(RPyO)の一電子還元電位(E^0red)を決定するため、酸素非存在下、サイクリックボルタンメトリー法によりRPyOのサイクリックボルタモグラム(CV)を測定した。その結果、R=NO_2などの電子求引性置換基をもつRPyOは、無置換のPyO(R=H)に比べて高いE^Ored値をもつことがわかった。 2.RPyOの一電子還元体を得るために、酸素非存在下、25℃で、RPyOとジヒドロニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)モデルである1-ベンジル-1,4-ジヒドロニコチンアミド(BNAH)との光反応を行った。その結果、RPyOは対応するラジカルアニオンRPyO-に還元されることがわかった。R=Hの場合には、ラジカルアニオンが極めて不安定であるのに対し、R=NO_2の場合には、NO_2PyO-を電子スピン共鳴(ESR)法で直接検出することができ、そのESRスペクトルの超微細構造からNO_2PyO-の詳細な電子構造を明らかにすることができた。 3.RPyOとBHANとの光反応で生成したRPyO-による活性酸素種生成の反応性をDMPOによるスピントラッピング法で検討した。その結果、R=Hの場合には、DMPO-OHに特徴的なESRシグナルが観測され、HPyO-から効率良くヒドロキシルラジカルが生成することがわかった。一方、NO_2PyO-は比較的安定なため、ヒドロキシルラジカルの生成は観測されなかった。以上の知見に基づき、次年度は、新規化合物め設計を行う予定である。
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