研究概要 |
1.ミオシン1E結合分子の同定 抗ミオシン1E抗体を用いた免疫共沈法、およびGST pulldown法によってミオシン1Eと特異的に結合する分子の同定を進めた結果、分子量約100、70、および60kDaのタンパク質が結合する可能性を見出した。現在、各タンパク質についてMALDI-TOFを用いて分子同定を進めているところである。一方、ミオシン1Eが各種リン脂質と結合する可能性について検討した結果、それはフォスファチジルイノシトール(PI)(4,5)二リン酸[PI(4,5)P_2]、およびPI(3,4,5)P_3と直接結合するが、PI(4,5)P_2の方により高い親和性を持つこと、また、その結合にはミオシン1EのTail Homology(TH)2ドメインが必要であることを見出した。 2.ミオシン1Eの細胞内動態と細胞形態について MKN1細胞にGFP融合ミオシン1E、あるいはその各種欠失変異体を発現させた後に、細胞を血清で刺激して、それらの細胞内動態、および細胞形態が如何に変化するかを比較検討した。その結果、ミオシン1Eは血清刺激のない状態では核周辺部位にドット状に局在するが、それにはTH2ドメインが必要であること、一方、ミオシン1Eは血清刺激に応答して細胞周辺部位の細胞膜ラッフリング領域に速やかに局在するが、それにはモータードメインからTH1ドメインの領域が必要であることを明らかにした。なお、モータードメインを欠失した変異体はドット状の局在を示すもののラッフリング領域への局在は認められないが、それを発現させた細胞では、血清刺激に応答した細胞の形態変化が有意に阻害されることを見出した。
|