カンナビノイドCB2受容体は、炎症・免疫系に多量に発現しているG蛋白質共役型の受容体で、その内在性リガンドは2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)である。これまでの研究で、ハプテン抗原を塗布したマウス耳介の遅延型アレルギーモデルにおいて、2-AG量の著しい増大が観察されること、CB受容体のアンタゴニストで炎症が抑制されること、特に好酸球の浸潤が抑えられること、好酸球にはCB2受容体が多量に発現していることなどを報告してきた。 今回は、好酸球における2-AGとCB2受容体の役割の詳細を解明する目的で実験を行った。その結果、2-AGが、CB2受容体を介して、フィブロネクチン等の細胞外マトリックスやICAM-1、VCAM-1等の接着分子に対・する好酸球の接着を亢進させることが明らかとなった。2-AGによる好酸球の接着元進には、PI3キナーゼ-Akt経路、MEK-ERK経路が関与していること、p38 MAPキナーゼやc-Jun N-terminalキナーゼは関与していないことが分かった。実際、好酸球に2-AGを添加することにより、CB2受容体を介したAkt及びERKのリン酸化が起きていた。更に、2-AGは血管内皮細胞に対する好酸球の接着も増強させること、また、TNF-αで刺激することによる好酸球の血管内皮細胞への接着にも、2-AGとCB2受容体が関与していることも明らかとなった。 これらの結果は、CB2受容体とその内在性リガンドである2-AGが、生体内のアレルギー反応において、重要な促進的役割を担っていることを強く示唆するものである。
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