カンナビノイドCB2受容体は、Bリンパ球やナチュラルキラー細胞、マクロファージ、好酸球などの炎症・免疫系の細胞に多量に発現している受容体で、その内在性リガンドは、モノアシルグリセロールの一種である2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)である。研究代表者はこれまでの研究で、ハプテン抗原で誘発した接触性皮膚炎において、2-AGとCB2受容体が、誘発期だけでなく、感作期においても促進的に関与していること、接触性皮膚炎の感作期において重要な役割を担っている表皮ランゲルハンス細胞にCB2受容体が多量に発現していること、一方、表皮細胞の大部分を占めるケラチノサイトには殆ど発現していないことを明らかにしてきた。今回の研究では、マウス骨髄由来樹状細胞を用いて、樹状細胞の機能に及ぼす2-AGとCB2受容体の役割を調べた。初めに、CB2受容体の発現をPCR法により調べたところ、マウス骨髄由来の樹状細胞にはCB2受容体が高発現していることが分かった。次に、樹状細胞の機能に及ぼす2-AGの影響を調べた。まず、フィブロネクチンへの接着に及ぼす影響を調べたところ、2-AGは、濃度依存的に細胞接着を亢進させることが分かった。2-AGの作用はCB2受容体アンタゴニストで完全に抑制されたことから、CB2受容体を介していることが分かった。また、2-AGは、CB2受容体を介した樹状細胞のケモタキシスを引き起こすことも明らかとなった。次に、シグナル伝達物質の活性化に及ぼす影響を調べた。その結果、2-AGを細胞に添加することによってp42/44MAPキナーゼの活性化が起こることが分かった。2-AGはCB2受容体を介して樹状細胞を活性化することにより、種々の免疫応答を促進している可能性がある。
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