研究課題
【目的】抑制性神経伝達を担うGABA受容体の一つであるGABA<B>受容体は、R1およびR2の二つのサブユニットがヘテロダイマーを形成して機能するG蛋白共役型受容体である。5'-AMP-activated protein kinase (AMPK)の活性化(リン酸化)により、GABA<B>受容体R2サブユニットの細胞内領域に位置する783番目のセリン残基(S783)がリン酸化を受けることをこれまで研究してきた。本研究では、培養神経細胞へのNMDA暴露に伴うAMPK活性化およびGABA<B>R2サブユニットのS783のリン酸化(p783)について解析した。【方法】マウス胎児大脳皮質から調製した培養8日目の初代培養神経細胞に各種薬物を暴露した後、細胞内蛋白質の発現およびリン酸化の変動をウェスタンブロッティング法により解析した。【結果および考察】NMDA受容体アンタゴニスト(D-AP5、MK-801)あるいはカルシウムキレーター(EGTA、BAPTA-AM)を15分間暴露したところ、AMPKが脱リン酸化し、GABA<B>R2サブユニットのリン酸化(p783)が減少した。一方、NMDAを15分間暴露したところ、AMPKのリン酸化が有意に増加するとともにp783の増加が観察された。これらの増加はNMDAアンタゴニストの前処置により完全に消失した。以上のことから、NMDA受容体の新規シグナルとしてAMPK活性化を介したGABA<B>R2サブユニットのリン酸化(p783)が明らかとなった。したがって中枢神経系においてNMDAシグナルの活性化がGABA<B>受容体機能を調節する可能性が示唆される。
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