研究概要 |
リボソームはmRNAコドンの解読が行われる小サブユニットとペプチド結合の形成が行われる大サブユニットからなり,遺伝子の翻訳は,両サブユニットがmRNA上で会合することで開始され,翻訳を終えたリボソームは再び各サブユニットへ解離して,次の翻訳サイクルへとリサイクルされる。この反応は3つの因子(RRF,EFG,IF3)とGTPの加水分解を必要とする反応であり,GTPエネルギーの役割等に関して以下の点について明らかにした。(1)GTP枯渇による影響にっいて検討するため,解離反応が認められる最低GTP濃度を決定L,このGTP濃度においてRRF/EFGの2因子による解離反応を行った後にIF3を添加することで,GTPエネルギー枯渇時の影響をについて検討を行ったところ,一度2因子により解離したサブユニットがGTP枯渇に伴い再結合していくこと・IF3を加えることでこの再結合が阻害されることが観察された。(2)ショ糖濃度勾配を用いた方法ではこの2因子のみによる反応は認められないが,前述の結果等から、これは解析時にサブユニットが再結合しているためと考えられた。そこでGTPを含む溶液でショ糖濃度勾配を作成して検討を行ったところ,これら2因子における反応でもサブユニットの解離が観察された。(3)実際の細胞内サブユニットの濃度は,上記の反応等で用いている濃度より約20倍高いことが知られている。反応時の基質サブユニットの濃度を細胞内の濃度まで増加させていくと,3因子添加時における解離反応が認められなくなる。一方反応時のGTP濃度を増加させることで,細胞内基質濃度の条件においてもサブユニットへの解離が観察された。
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