1. 新規アルカロイドLycoposerramine-Cの不斉全合成 当研究室で単離・構造決定した新規アルカロイドLycoposerramine-Cの全合成研究を行った。Evansの不斉補助基を有するクロトンアミド体を出発物質とし、細見-櫻井反応、CBS還元等を用いて不斉炭素を立体選択的に構築後、Pauson-Khand反応を用いて二環性シクロペンテノンを得た。さらにケトンの不斉還元、フェニルビニルスルホキシドを用いたクライゼン転位により4級不斉炭素を構築した。その後、ヘンリー反応を用いて窒素を導入後、分子内光延反応により9員環を構築した。現在、Lycoposerramine-Cの全合成まであと2段階のところまで合成を達成している。今後、全合成を達成し、合成中間体を含めた薬理活性評価を行い、構造活性相関の検討、さらなる誘導体の合成等を行っていく予定である。 2. 分子内Diels-Alder反応を鍵反応としたLycorineおよびその誘導体の全合成 サフロールを出発原料とし、オレフィンのジヒドロキシル化、NBSを用いたハロゲン化に続く増炭反応等を用いて、Diels-Alder反応のジエノフィルに相当する左フラグメントの合成を完了した。続いて、ジエンに相当する右フラグメントの合成を試みた。フランとジヒドロピロールからなる2環性化合物を右フラグメントとして設定し、現在、フランへの増炭反応の検討中である。今後、右フラグメントの合成を達成し、左フラグメントと縮合後、鍵反応となるDiels-Alder反応の検討をおこなう予定である。
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