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2008 年度 実績報告書

生体におけるメチル水銀の脱メチル化機構及びその生物学的意義に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19790113
研究機関国立水俣病総合研究センター

研究代表者

永野 匡昭  国立水俣病総合研究センター, 基礎研究部, 主任研究員 (10393464)

キーワード環境 / 毒性学 / メチル水銀
研究概要

【研究の意義・重要性等】ヒトにおけるメチル水銀(MeHg)の排泄経路は主に糞中であり,そのほとんどが無機水銀として排泄されている.一方,MeHgの中枢神経毒性はMeHgそのもの,それともMeHgから派生した無機水銀,あるいは両水銀化合物によるものか明らかとなっていない.したがって,生体におけるMeHgの脱メチル化機構(生体内変換)はMeHgの代謝及び排泄の点で重要である.昨年度は腸内細菌による生体内変換メカニズムとその生物学的意義について検討を行った.【研究成果】腸内細菌による生体内変換部位を特定するため,ラット腸から調製した菌懸濁液にMeHgを添加し検討を行った.その結果,生体内変換は小腸中部から下部の部位で行われていることが明らかとなった.次に,生体内変換に関与する腸内細菌を推定するため,菌株が明記されている発酵乳等(6種)を用いて検討したところ,あるビフィズス菌株において最も高い変換率を観察した.さらに,MeHg濃度が低い方がその変換率が高いことがわかった.そこで,ビフィズス菌の増殖因子であるフラクトオリゴ糖(FOS)をラットに8週間経口投与し(0.4g/kg体重),MeHgの糞中排泄に対する効果を検討した.FOS投与5週間後から糞中ビフィズス菌の占有率に増加傾向がみられたが,7週間後には対照群と変わらなかった.一方,糞中ビフィズス菌の占有率とMeHgの排泄率(一般飼料には微量のMeHgが含まれている)の間に相関関係が認められ,腸内細菌による生体内変換にはビフィズス菌が関与していることが示唆された.しかしながら,FOS投与8週間目に行ったMeHg投与後(0.5g/ラット,5日間連続投与)の糞中排泄量及び組織中総水銀濃度にFOSの効果は認められなかった.以上のことから,腸内細菌による生体内変換は,体内に取り込まれたMeHgの排泄促進機構であることが明らかとなった。

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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