深部静脈血栓症は下肢静脈瘤・下肢の負傷・手術・悪性腫瘍・深部静脈血栓症の既往がある場合・経口避妊薬の使用・妊娠中・出産後など誰もが経験しうる身体状況においても、健常時より発症リスクが高まることが知られている。一方、ビタミンK依存性血液凝固因子のうち第II(プロトロンビン)、第VII、第IX、第X因子は、肝ミクロゾームに存在する酵素Vitamin K Oxide Reductase(VKOR)を構成タンパクとする、Vitamin Kサイクルにより生合成(活性体へ変換)されている。このVKORをコードする遺伝子であるVKORC1は、血栓塞栓症の予防・治療薬であるワルファリンの抵抗性を引き起こす原因遺伝子として発見されたが、ワルファリン抵抗性の原因遺伝子変異およびその遺伝子多型による疾患への影響は申請者らによって現在研究が始まったばかりである。本年度は、以下の(1)〜(3)についての研究を行った。 (1)ワルファリン投与中の患者およびワルファリン投与を受けていない健常日本人の末梢血からゲノムDNAを調製した。 (2)ワルファリンの代謝および薬効発現に関与するCYP2C9、CYP2C19、VKORC1遺伝子について、末梢血から抽出したゲノムDNAを鋳型とし、PCR-RFLP、ダイレクトシークエンス法などにより、遺伝子変異の有無を検出した。 (3)現在開発中の遺伝子多型迅速判定法が有効であるかについて検討し、ASHP2007Midyer Clinical Meetingにおいて発表した。解析を効率化した。さらに臨床応用を開始した。
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