研究課題
これまでに申請者は、Mrp2の胆管側膜における局在が、細胞内GSHの濃度の変動に応じた可逆的な機構により制御されていること明らかとしてきた。さらに肝臓と小腸に発現しているMrp2の局在制御機構にPKCの分子種に依存したシグナル伝達が存在していることを見出した。申請者が得ている実験結果からMrp2とF-actinとのアンカーとして働き、Mrp2の膜における安定発現に重要であるEzrin-Radixin-Moesin(ERM)familyの蛋白質は肝臓と小腸とで異なる局在性を示すことから、申請者はこのERM蛋白質の臓器間におけるERMの発現プロファイルの相違が、PKC分子種依存的なMrp2の局在変化に対する臓器間の差の原因であると考え、本研究を遂行した。その結果、cPKCの活性化により小腸に発現しているEzrinのリン酸化状態の変化することを見出し、Mrp2の局在制御に重要な因子であることを明らかとした。更に、本年度に行った研究より、肝臓においてもRadixinのリン酸化状態の変化がMrp2の局在変化に関与すること、またこのリン酸化状態の変化が酸化ストレスに応じて起こる事を明らかとし、ERM familyの蛋白質がPKCの分子種に依存したMrp2の内在化現象の要因であることが見出された。更に、この内在化によるMrp2の機能変動にともなった基質の蓄積が観察された。本研究を更なる遂行していくことにより、PKC分子種の活性化を指標とした候補医薬品の肝毒性や薬物動態の変動に対する新規スクリーニング系の構築に繋がることが期待され、今後に発展性のある研究成果が得られた。
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Drug Metab Dispos (Epub ahead of print)
Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 296(5)
ページ: 406-413
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ページ: 1035-1041
http://www.p.chiba-u.ac.jp/lab/yakuzai/index.html