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2008 年度 実績報告書

ビタミン結合タンパク質の動態解析とその特性を利用した薬物送達ベクターへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 19790126
研究機関広島大学

研究代表者

永井 純也  広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20301301)

キーワード網膜芽細胞腫 / メガリン / キュビリン / アルブミン / エンドサイトーシス / 光感受性物質
研究概要

生体内には、ある特定のビタミンと特異的に結合するタンパク質が存在する。それらの内因性タンパク質は結合したビタミンを生体内に保持するとともに、標的とする組織に効率的かつ選択的に輸送することから、それらのビタミン結合タンパク質は生体が獲得した内因性ベクターであると捉えることができる。
網膜は視覚機能を司る重要な組織であるが、その機能が正常に発揮され、かつ維持されるためには、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類を血液中から網膜へと取り込む必要がある。従って、この輸送システムを利用することによって、網膜に効率よく薬物をデリバリーできる可能性が考えられる。
小児期に発症する網膜芽細胞腫の治療は原則として眼球摘出であるが、近年では、眼球を温存するために、抗がん剤による全身化学療法が行われている。そこで本年度は、全身的に投与した場合においても、網膜芽細胞腫で選択的に抗腫瘍効果を発揮させるためのベクターの探索とそのDDSに向けた応用について解析した。
ヒト網膜芽細胞腫由来Y79細胞における各種エンドサイトーシスレセプターの発現をRT-PCRによって解析した結果、腎近位尿細管においてレチノール結合タンパク質の取り込みに重要であるメガリンmRNAは検出されなかった。一方、アルブミンをリガンドとして認識するキュビリンmRNAの発現が認められた。また、Y79細胞におけるアルブミンの細胞内取り込みは、温度依存性やエネルギー依存性を示すと共に、検討した数種の高分子リガンドの中で顕著に高い取り込みクリアランスを示すことが認められた。さらに、光感受性物質chlorin e6を結合したアルブミンの細胞内取り込みに温度依存性が観察されるとともに、光照射によって細胞障害活性が著しく高まることが観察された。
以上、Y79細胞を用いた解析によって、アルブミンをキャリアーとすることで網膜芽細胞腫に比較的選択的かつ効率的に薬物をデリバリーできる可能性が示唆された。また、Y79細胞で観察されたアルブミンのエンドサイトーシスは、アルブミンがレチノール(ビタミンA)と結合することから、網膜におけるその生理学的意義を考える上でも重要な知見になりうるものと思われる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Effect of ursodeoxycholic acid treatment on the expression and function of multidrug resistance-associated protein 2 in rat intestine2009

    • 著者名/発表者名
      Yumoto, et.al.
    • 雑誌名

      J Pharm Sci (in press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Transport of prostaglandin E1 across rat erythrocyte membrane2008

    • 著者名/発表者名
      Taogoshi, et.al.
    • 雑誌名

      Biol Pharm Bull 31

      ページ: 1288-1291

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Low-affinity transport of FITC-albumin in alveolar type II epithelial cell line RLE-6TN2008

    • 著者名/発表者名
      Tagawa, et.al.
    • 雑誌名

      Drug Metab Pharmacokinet 23

      ページ: 318-327

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒト網膜芽細胞腫由来Y79細胞におけるエンドサイトーシス特性の解析〜抗がん剤デリバリーへの応用にむけて〜2008

    • 著者名/発表者名
      田中宏則、永井純也、湯元良子、高野幹久
    • 学会等名
      第47回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会
    • 発表場所
      岡山市
    • 年月日
      2008-11-09
  • [学会発表] 綱膜芽細胞腫由来Y79細胞におけるP-糖タンパク質および多剤耐性関連タンパク質の発現と機能2008

    • 著者名/発表者名
      石川由佳ら
    • 学会等名
      第23回日本薬物動態学会年会
    • 発表場所
      熊本市
    • 年月日
      2008-10-31
  • [学会発表] アミノグリコシド腎移行阻害能を有するペプチドの動態制御による低用量化の試み2008

    • 著者名/発表者名
      藤井健司、永井純也、村上幸子、湯元良子、高野幹久
    • 学会等名
      日本薬剤学会第23年会
    • 発表場所
      札幌市
    • 年月日
      2008-05-20

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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