オキシコドンの血液脳関門輸送特性の解明と血液脳関門におけるオキシコドンの輸送分子の同定を目的として、in vitro血液脳関門モデル細胞(条件的不死化脳毛細血管内皮細胞株、TR-BBB13)を用いてオキシコドンの輸送特性を解析した。その結果、プロトンアンチポーターがオキシコドンの血液脳関門輸送を担うことが示唆された。その輸送は有機カチオン感受性を示した。そこで脳関門モデル細胞における有機カチオントランスポーターの遺伝子発現を解析したところ、plasma membrane monoamine transporter (PMAT)遺伝子が最も高い発現を示した。近年ヒトおよびマウスにおいて同定されたPMAT (SLC29A4)は、モノアミンを含めた有機カチオンに幅広い基質認識性を示す。脳関門細胞よりクローニングしたラットPMAT遺伝子は、マウスおよびヒトPMATと高い相同性を示した。テトラサイクリン発現誘導システムを用いて、ラットPMAT発現CHO細胞を作製した。FLAGタグをN末に付加したPMATの細胞内発現を免疫染色により確認したところ、主に細胞膜での発現が観察された。Western blottingにより測定したその発現量と1-Methyl-4-phenylpridinium(MPP)の輸送活性は良く相関した。MPPを基質として用いてその輸送機能を解析したところ、PMATはモノアミンに加えて、有機カチオンに感受性を示した。これらの結果から、オキシコドンの血液脳関門輸送には有機カチオン感受性トランスポーターが関与することが明らかとなり、新規モノアミントランスポーターであるPMATは、血液脳関門細胞で高発現し、有機カチオンの血液脳関門輸送に関与することが示唆された。
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