1. 脳関門におけるPMATTの発現と機能解析ガラスビーズ法によりラット脳から脳毛細血管を単離しrPMATの発現を解析したところ、全脳に比べ、脳関門で高いrPMATmRNA現を確認した。さらに、rPMATの抗体を作製し、タンパク質レベルでrPMATの発現を調べた。Western blotting解析により、rPMATTの発現が単離脳毛細血管ならびに単離脈絡叢でみられた。さらに免疫組織染色法により、脳毛細血管内皮細胞でrPMATの発現を確認した。In vivoにおけるPMATの脳関門輸送機能をin situ rat brainperfusion法、brain efflux index法ならびにin vivorat microdialysis法により解析した。その結果、rPMATは血液から脳側への輸送には関与せず、脳から血液側の輸送に関わることが示された。従って、脳関門におけるPMATは有機カチオンを脳から血液中に排出することにより、脳内モノアミンや外因性有機カチオンの脳内濃度の調節機構としての役割を担っていると考えられる。 2. オキシコドントランスポーターを介した薬物間相互作用の危険性評価オキシコドントランスポーターのプローブリガンドとして[^3H]ピリラミンを用い、鎮痛補助薬の輸送阻害作用をスクリーニングした。その結果、アミトリプチリンを始めとする抗うつ薬は[3^H]ピリラミンの輸送を阻害した。アミトリプチリンはオキシコドンのBBB輸送を阻害したが、その抑制効力から、治療血中濃度ではBBB輸送阻害の起こる可能性は低いと考えられた。さらにin vivoでオキシコドンとアミトリプチリンの薬物動態ならびに鎮痛作用における相互作用を解析したところ、アミトリプチリンはオキシコドンの脳移行過程に影響を与えることなく鎮痛作用を増強することが示された。
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