研究課題
1. 胸腺における脂肪細胞型(A-)FABPの発現解析前年度報告に記載した、胸腺皮質に存在するA-FABP陽性上皮様細胞のより詳細な組織学的解析を行った。この細胞は、組織内での形態から胸腺ナース細胞(TNC)である可能性が示唆されていたことから、TNCの単離を行い、マーカー分子の発現解析を行ったところ、E-FABP陽性胸腺上皮細胞と同様であった。更にDex(dexamethasone)投与により胸腺細胞のアポトーシスを誘導し、TNCによるアポトーシス胸腺細胞の貪食を観察したところ、Dex投与後8時間でTNCによる貪食像が確認された。また当該細胞が取り囲む胸腺細胞の分化段階の解析を行ったところ、これらはCD4CD8共陽性の胸腺細胞であることが判明した。従って、A-FABP陽性上皮細胞はTNCである可能性が非常に強く示唆された。2. 胸腺細胞の分化におけるE-FABPの機能(前年度から継続)前年度のpreliminaryな解析に続き、抗CD45、CD3、CD4、CD8及びαβTCR抗体を使用し、WT及びE-FABP KOマウス胸腺におけるより詳細な胸腺細胞の分化解析を行った。その結果、E-FABP KOマウスにおいてCD4単陽性胸腺細胞の割合が多い傾向がみられたが、統計学的な有意差は検出されなかった。従って、E-FABPは胸腺細胞の分化誘導には関与しないと考えられた。3. 胸腺上皮細胞特異的な液性因子産生におけるE-FABP分子の関与胸腺上皮細胞が特異的に産生するIL-7について、WTおよびE-FABP KOマウス胸腺で遺伝子発現を半定量RT-PCR法で比較したところ、E-FABP KO胸腺においてWTよりも亢進している可能性を見出した。SCFやIL-6等他のサイトカインでも検討する必要があるが、E-FABPは胸腺上皮細胞における液性因子産生の制御分子である可能性が示唆された。
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Prostaglandins, Leukotriens and Essential Fatty Acids 79
ページ: 21-26
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