研究概要 |
細胞には細胞表面から突き出した一次繊毛という細胞内小器官が存在する。近年,一次繊毛が発生初期の左右非対称性を決定するためのノード流を生成することや,腎尿細管における尿流れを感知するメカノセンサーとして機能することが報告され,一次繊毛は組織や細胞ごとに多様な役割を果たすことが明らかとなった(Hirokawa N Cell,2006/Singla V Science,2006)。一次繊毛には250種以上のタンパク質の存在が報告されており,一次繊毛の多様な機能は,一次繊毛に局在するタンパク質の違いにより規定されると考えられる。本研究の目的は,一次繊毛内へのタンパク質局在シグナルを同定することである。 平成19年度の研究において,一次繊毛局在に必要な領域を約300アミノ酸に絞り込んだ。 この領域には中心体に局在する蛋白であるNineinと相同性が高いアミノ酸領域が見出された。 また,invと繊毛内での局在を同じくする蛋白の同定にも成功した。 この成果により,一次繊毛局在は蛋白内部のアミノ酸領域により制御されていることが明かとなり,この領域と相互作用する蛋白が一次繊毛への蛋白輸送を担っていると考えられる。 本成果は第59回日本細胞生物学会(2007年5月・福岡)および第113回日本解剖学会全国学術集会(2008年3月・大分)において発表した。
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