研究概要 |
一次線毛は細胞表面から突出する細胞内小器官であるが、そこには650種以上もの蛋白が局在する. しかしながら、線毛内でのそれら蛋白の局在に関しては詳細には検討されていない。Invは内臓逆位とともに嚢胞腎を発症するinvマウスの責任遺伝子産物である。人においては、2型若年性ネフロン癆(NPHP2)の原因遺伝子でもある。我々は、Invがこれまで見出されていなかった一次繊毛基部領域に局在することを発見し、この領域を「Invコンパートメント」と名づけた。電子顕微鏡による詳細な観察により、Invコンパートメントは基底小体やシリアリーネックレス・トランジションゾーンとは一致しないことを明らかにした。また、種々の領域欠失Invコンストラクトを細胞に導入することで、Inv蛋白のコンパートメント局在はC末端側60アミノ酸により制御されていることを明らかにした。このアミノ酸配列をデータベース上で検索したところ、母方中心小体に局在するNineinのC末端領域と高い相同性を示した。そこで、この領域(InvC末端側60アミノ酸)とGFPとを融合させた蛋白を細胞内に強制発現させたところ、中心体にGFPシグナルが観察された。従って、この領域(lnvC末端側60アミノ酸)と相互作用する蛋白が一次繊毛内コンパートメントへの蛋白輸送を担っていると考えられる。 本成果をJournal of Cell Scienoe誌2009, 122(Pt1) : 44-54.および、第114回日本解剖学会全国学術集会(2009年3月・岡山)において発表した。
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