研究概要 |
本年度はバゾプレッシン(AVP)-eGFPトランスジェニック(Tg)ラットを用い、暗期における光刺激に対する視床下部の遺伝子発現の反応性を検討した。また、蛍光観察によるeGFP蛋白発現のサーカディアンリズムを測定した。Tgラットは明期12時間(7:00〜19:00)、暗期12時間(19:00〜7:00)の環境下で飼育した。明期開始時刻をZT0とし、ZT15に光暴露(600Lux, 30min)を行い、90分後に脳を採取した。脳の薄切切片を作成し、視床下部視交叉上核においてeGFPmRNA、AVP mRNA、Per1 mRNA、Per2 mRNAおよびAVP hnRNAをin situハイブリダイゼーション法で定量化し、光暴露を行わないコントロール群と比較した。その結果、光暴露によりAVP hnRNAおよびGFP mRNAの発現は抑制され、Per1mRNAおよびPer2mRNAの発現は増強された。AVP mRNAの発現に変化は見られなかった。また、ZT1、ZT9、ZT17において灌流固定を行い、視交叉上核のeGFP蛍光観察を行ったところ、サーカディアンリズムを示す蛍光強度の変化が観察された。これらのことからAVP-eGFP Tgラットにおいて視交叉上核のeGFP遺伝子発現は光刺激によって位相が変化する可能性があることを明らかにした。また、eGFP蛋白発現はサーカディアンリズムを有しており、リズムの変動を見る上で有用な指標になると考えられる。
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