本年度は砺究目標に従い、局所脳梗塞モデルマウス実験系の確立から着手した。最終目標である神経細胞及びグリア細胞の役割を生態で解明するためや臨床治療の指標作りを考慮し、観察方法の改善(長期間、同一固体の観察行えるような、低侵襲な実験方法への移行、すなわちThin-skull法による観察窓の確保とそれにあわせた局所脳梗塞作成法の改善)、観察領野の再考(障害回復期において重要な役割を担うと考えられている健常側の観察)を行い、19年度末までにSpine構造の形態変化が大幅に起こる時期を推定できた。20年度はさらにこの現象を掘り下げ、障害回復期における代償性機能変化との関連を検討する予定である。また、19年度同時に着手したグリア細胞をIn vivo imagingが行える動物の選定に関しては、想定していたアストロサイトを観察するために満足の行くものが得られなかったが、アストロサイトと同じく重要な働きをしていると考えられるマイクログリアを安定して観察できるマウスを選定することができた。20年度は前述の成果により推定された形態変化の起こる時期を念頭に、神経細胞において観察された形態変化との比較観察を行う予定である。上記の観察と平行して、さらに、最終目標である治療薬やリハビリテーションの効果、具体的には機能回復が促進される処置(一般的な治療薬の投与、リハビリテーションの試行)を来ない、そのときに観察されるSpine構造の形態変化がどのように起こっているかを観察する。これにより、今後の新薬・新療法開発における検定系の確立を期待できると考えられる。
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