生体にα-GC負荷BM-DCを投与したところ、肺、肝臓と脾臓への集積が見られたが、これらの細胞は投与後2時間以降で細胞数が著明に減少することから、DCにより活性化したNKT細胞により除去されていると考えられた。BM-DCによるNKT細胞の活性化は短時間であると推測されたが、血清中には検出可能な量のサイトカインが放出された。そして、α-GC負荷BM-DCを3回投与したマウスと初回投与マウスの血清中のサイトカイン量を経時的に測定したところ、IFN-γ産生量は投与後3時間という早期には3回投与したマウスの方が多いものの、6時間以降は逆転し、3回投与群では産生量が低下するのに対して、初回投与群は12時間後までIFN-γ産生量の上昇が認められた。一方、IL-4産生は3回投与群で投与後3時間、初回投与群で6時間でピークとなり、ピーク時の産生量は3回投与群が初回投与群を上回っていた。IL-10は初回投与群ではα-GCを負荷していないBM-DCを投与した場合と同程度の産生しか認められないのに対して、3回投与群では3時間をピークとした産生が認められた。このIL-10産生がNKT細胞に由来することをin vitroにおける再刺激実験およびα-GC反応性NKT細胞がいないJα281ノックアウトマウスを用いた実験により確認した。次に、α-GC負荷BM-DC3回投与による生体内DCの機能変化をT細胞刺激能とCD40リガンド刺激に対するサイトカイン産生により検討したところ、α-GCを負荷していないBM-DCを投与した場合と差は認められなかった。しかし、BM-DCを3回投与したマウスのCD4陽性T細胞をin vitroで抗CD3ε抗体と抗CD28抗体で刺激したところ、α-GC負荷DC投与群でIL-10産生量の上昇が認められた。以上の結果より、α-GC負荷BM-DC投与はNKT細胞の活性変化を介してT細胞の応答に影響を与えると予想される。
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