研究概要 |
今や国民病と化した糖尿病は網膜症、腎障害といった細血管障害のみならず冠動脈硬化、脳梗塞等の大血管障害の原因ともなる。本研究課題の目的は、糖尿病性大血管障害の機序を解明し、新規治療法を探索することである。とりわけ血管反応性に着目した検討を計画した。このために新規糖尿病性血管障害憎悪因子として我々が提唱する糖代謝産物であるグリオキサル、メチルグリオキサルおよび糖尿病治療薬の血管反応性に及ぼす直接作用を重点的に検討している。まず、本年度はグリオキサルが高血糖そのもの或いは終末糖化産物(Advanced glycation end-products: AGE_s)と比較して強力な炎症性障害を血管内皮細胞において誘導することを報告した(BBRC, in press)。そして1)メチルグリオキサルは血管平滑筋に直接作用して急性に収縮抑制作用を持つことを初めて明らかにした(第145回日本獣医学会学術集会、論文投稿準備中)。さらに2)II型糖尿病治療薬であるピオグリタゾンが血管組織に直接作用して急性に血管拡張作用を起こす機序を明らかにした(The 81st Annual Meeting of the Japanese PharmacologicalSociety、論文投稿準備中)。次年度は本年度の成果に基づいてこれらの血管組織に対する長期作用を検討することを計画している。
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