研究概要 |
今や国民病と化した糖尿病は冠状動脈や脳底動脈の動脈硬化症等の大血管障害の原因ともなる。本研究課題の目的は、糖尿病性大血管障害の機序を解明し、新規治療法を探索することであり、とりわけ血管反応性に着目した検討を計画した。このために新規糖尿病性大血管障害促進因子として我々が提唱する糖代謝産物であるメチルグリオキサルおよび糖尿病治療薬の血管反応性に及ぼす直接作用を重点的に検討した。まずメチルグリオキサルが血管内皮細胞においてマップキナーゼであるJM(およびp38の活性化を介して炎症性障害を誘導すること(Yamawaki et al., Am J Physiol, 295 : C1510-C1517, 2008)と高血圧治療薬であるテルミサルタンがMGOによる血管内皮細胞の細胞死(アポトーシス)を抑制すること(Baden et al., BBRC, 373 : 253-257, 2008)を報告した。更にメチルグリオキサルが血管平滑筋に直接作用して収縮抑制作用を持つことを初めて明らかにするとともにその機序も解明した(Mukohda et al., Jpharmacol Sci 109 : 305-310, 2009)。また、II型糖尿病治療薬であるピオグリタゾンが血管組織に直接作用して血管拡張作用を起こす機序も明らかにした(Nomura et al., J pharmacol Sci. 108 : 258-265, 2008)
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