糖尿病時においては様々な因子により血管障害が誘発される。本研究の様々な糖尿病モデルから、特に血管成長因子であるインスリンの過剰は、活性酸素であるsuperoxide、peroxynitriteの増加によって血管機能障害を生じることを明らかにした。この機序として、1).カルシウム筋小胞体のニトロ化による機能不全は、血管弛緩機能を低下させ、内皮細胞からのNO産生も低下させる。2).Akt pathwayの活性低下によるNO産生を低下する。3).MAP kinaseの活性化による血管収縮の増加を生じる。4).血中エンドセリンやアンギオテンシンの増加が、これらの酸化ストレスの血管異常を増加させている。以上の研究結果から、糖尿病時において、成長因子やエンドセリン、アンギオテンシンの増加を抑制することは、ニトロ化等の酸化ストレスを抑制し、糖尿病性血管障害を予防・改善できるものと期待できる。
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