研究課題
申請者はバイオインフォマティクスの手法を用い、ヒトゲノムデータベースより新規のユビキチンリガーゼの一つを発見し、「SCRAPPER」と名付けた。SCRAPPERは神経終末に存在し、神経伝達物質放出の調節に関わる分子のユビキチン化に関わることが予想された。本研究では、SCRAPPER分子がユビキチンリガーゼとして機能することを標的分子の同定とユビキチン化の検出により実証するとともに、SCRAPPER分子の神経シナプスにおける生理学的な機能を解明することを目的とする。前年度までに当初の目的が達成され、SCRAPPERの標的分子RIM1を同定しSCRAPPER分子の神経シナプスにおける機能について論文として報告している(Yao et al., Cell, 2007)。そこで本年度は、標的分子のリン酸化とユビキチン化の関係についての実験を行った。SCRAPPERの標的分子RIM1はSAD-1キナーゼによりリン酸化されることから(Inoue et al., Neuron, 2006)、RIM1とSAD-1を細胞内で共発現させた時のSCRAPPERによるユビキチン化の程度を検討した。RIM1のユビキチン化の検出が困難であったため、RIMIの量を比較することで分解の程度を調べることを試みたが、有意な変化は見られなかった。リン酸化依存的な標的分子との結合とそれに引き続くユビキチン化についてはさらに検討の余地がある。昨年度発表した論文については各方面から大きな反響を得、関連する内容について、平成20年度は学会発表として日本分子生物学会年会・日本生化学会大会、神経科学学会をはじめとして多くの学会で発表を行った。
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PLoS ONE 3
ページ: E2809
Proteomics 8
ページ: 3692-3701
http://www.mitils.co.jp/news/pr2007.php