研究概要 |
成人T細胞白血病(Adult T cell Leukemia, ATL)におけるsurvivinの高発現が抗がん剤耐性の一つの要因である。survivinは抗アポトーシス作用と分裂調節作用をもって、がん治療の標的分子として魅力的である。 Survivinはdimerを形成して働き、BIR領域を通じてXIAPと結合し、XIAPを安定化させ、カスパーゼ-9の活性化を阻害することによってアポトーシスを抑制していると考えられる。 我々はsurvivinがダイマーを形成する領域(89-103aa)とXIAPと結合する部位(15-38aa)のN末端に膜透過キャリアー(TAT蛋白のProtein transduction domains, PTD)をつけたペプチドを作製した。これ, オリゴペプチドのSITとMT2細胞に対する毒性をMTT Assayで調べ、PTD-(89-103aa)とPTD-(15-38aa)は濃度と時間に依存してSITとMT2細胞の増殖を抑制することを見出した。二種類のオリゴペプチドで処理したATL細胞をAnnexinVとPIで染色し、FACSで解析し、アポトーシスが誘導されたことを確認した。PTD-(15-38aa)ペプチドのほうが増殖抑制とアポトーシス誘導の効果が強いことを観察した。 現在、PTD-(15-38aa)ペプチドに着目し、PTD-(15-38aa)ペプチドはsurvivinとXIAPの結合を阻害するか、XIAPの安定性に影響があるかを調べ、ATL細胞のアポトーシス誘導のメカニズムを明らかにしようとしている。これらの研究によりsurvivinを標的分子とした治療法の開発を目指している。
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