研究課題
毛細血管拡張性蓮動失調症(Ataxia-Telangiectasia;AT)はヒト11番染色上に存在するATM遺伝子の機能欠損により引起こされる常染色体劣性の疾患であり、小脳失調伴う神経変性,免疫不全や発癌感受性、放射線感受性など多彩な蓑現型を示す。本研究の目的は1)ヒト人工染色体(AHC)ベクターにATM遺伝子全長をクローニンダし志療用ATM-HACベクターを作製すること、2)自己幹細胞にATM・HACベクターを導入し、造血韓細胞へ分化誘導後ATM欠損マラス(自己)に移植し、AT患者の死亡原因のトップを占める造血系表現型を対象どした遺伝子治療を行うこと、である。1.ATMゲノムDNAのHACへのクローニング150kkbにおよぶATMゲノム領域を染色体改変捜術存利用した以下の二つの方法(環状インサート挿入型、染色体転座型)でHACベクダー上にグローニングした。具体的には1)市販のBAC library よりATMゲノム全長のみを含むBAC(RP11-455M10)購入し、相同組み換え頻度の高いDY380株にトランスフォーム後、HAC挿入のためのloxP配列を相同組み換えで移入した。改変した環状ATM・BACおよびCreをHAC導入CHO細胞へ導入することでHAC上のloxPサイトにATMゲノム領域をインサートタイプでクローニングすることできた。しかしながら、CHO細胞中においてHAC上に搭載したATM遺伝子の発現は一部分のみであった。次に2)の手法によりATM遺伝子をHAC上に搭載した。2)11番染色体上に存在するATM遺伝子のテロメア側を人工テロメア配列移入により切断し、セントロメア側にloxP配列を導入した。改変11番染色体をHAC導入CHO細胞へ移入後、Creを一過性に発現させることでHAC上のloxPサイトにATMゲノム領域を転座クローニングできた。なお、上記め部位特異的染色体改変ほ相同組み換え頻度の高いトりDT40細胞にヒト11番染色体を移入して行った。CHO細胞におけるHACベクター上のATMチ遺伝子の発現を調べたところ、RNAおよびタンパクレベルにおいて発現が観察された。以上のことから染色体レベルでの遺伝子導入の有用性が示唆された。今後はATM・HACベクターの機能解析を行う。
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Biochem Biophys Res Commun. 369
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