研究概要 |
肝細胞癌では、同様の組織像を呈する腫瘍においても、再発、生存率に反映される生物学的振る舞いは多様であることが知られている。今回の検討では、組織マイクロアレイを用いた免疫組織学的手法により、複数の遺伝子経路の関連遺伝子について、蛋白の発現解析を大規模に行い、経過予測可能な均一な腫瘍群を得る発現型の解明を目的としている。また、早期病変にも焦点をあて、基本的な組織像、画像所見に加え、進行癌と同様に遺伝子発現型を考慮し、有意な早期病変を抽出することも目的としている。 平成19年度には以下の研究を行った。 1.組織マイクロアレイの作成:東京大学医学部附属病院で外科切除された肝臓検体を用いて、組織マイクロアレイを作成した。肝細胞癌約200例、非腫瘍肝組織約150例につき、パラフィンブロックから各2個のcoreを採取し、新たなブロックを作成した。 2.免疫組織学的染色:作成した組織マイクロアレイを使用し、AKT経路、MAPK経路の関連遺伝子について、市販抗体(p-AKT, p-mTOR, p-4E-BP1, p-p38, p-p44/42, p-SAPK/JNK)を用いた免疫組織学的手法により発現の検討を行った。現在結果を解析中である。 3.早期病変の再評価:東京大学医学部附属病院で生検された肝細胞癌から、高分化型肝細胞癌、dysplastic nodule相当の病変を抽出した。今後これらの検体を用い、免疫組織学的検討を行う予定である。
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