研究概要 |
悪性リンパ腫において腫瘍幹細胞としての役割をもつ細胞を同定するためには,リンパ腫細胞からマーカーを利用してソートされた細胞をNOD/Scidマウスに移植する必要がある.そのためには腫瘍幹細胞マーカーを検索しなければならない.本年度は、腫瘍幹細胞が多く含まれていると考えられるside-populationをソートし、その画分に高発現する遺伝子を調べることで腫瘍幹細胞マーカーを検討した.検討したリンパ腫細胞株ではside-populationはほとんど存在しなかったため,この画分を多く含む乳癌細胞株よりside-populationで高発現する遺伝子としてCD55を同定した.CD55を高発現する細胞ではアポトーシろ耐性が高く,in vitro colony形成能・NOD/Scidマウスにおける造腫瘍能も著明に高かった.乳癌臨床検体を用いて検討したところCD55を高発現する細胞を多く含む症例では予後不良であった.これにより腫瘍幹細胞の存在の多寡が予後を決定する可能性が示唆された.次に悪性リンパ腫細胞株より,乳癌細胞株のside-populationで高発現するマーカーを用いて検討した結果、Notch2の発現が高いものの方が,低いものに比べて腫瘍形成能が高いことがinvitrocolony形成能およびNOD/Scidマウスへの移植により確認された.以上より悪性リンパ腫においても腫瘍内に腫瘍形成能を有する一群が存在することが示唆された.
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