プロテオーム解析により同定した新規ヒト胃癌抑制遺伝子産物候補CYR61の発現細胞の同定、発現低下メカニズムとCYR61の機能解析をおこなった。胃粘膜におけるCYR61発現は、主としてセロトニン産生細胞であり、がんの進展に伴い、エピジェネティックな異常により発現が抑制されることが示された。CYR61は、胃癌細胞株に対し浸潤能抑制性に作用し、同時にMatrilysin/MMP-7発現の低下が観察された。加えて、胃癌組織標本においてMMP-7発現例とCYR61発現例が逆相関していた。以上より、ヒト胃においてCYR61発現はエピジェネティックな異常により低下し、結果としてMMP-7発現誘導により胃癌細胞の浸潤を促進する可能性が示唆された。
|