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2008 年度 実績報告書

新規抗うつ薬スクリーニング系の確立を目指したマウスによる分子基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 19790280
研究機関東北大学

研究代表者

笠原 二郎  東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (10295131)

キーワード脳神経疾患 / 薬理学 / シグナル伝達 / モデル動物 / リン酸化反応 / 細胞内カルシウム
研究概要

本研究の目的は、うつ傾向の増大と抗うつ薬感受性の顕著な低下が認められるCaMKIVノックアウトマウスおよび培養神経細胞を用いて、うつ病と抗うつ薬感受性の分子機構や、モノアミンによるCaMKIV活性化反応や基質タンパク質である転写因子CREBのリン酸化反応の分子機構を明らかにすることである。
平成20年度にマウス個体を用いて行った研究の結果、CaMKIVノックアウトマウスの海馬歯状回における神経新生は、通常の飼育状態では野生型マウスと変わらず生じているが、野生型マウスに見られる抗うつ薬フルオキセチンおよびデシプラミンによる神経新生促進効果が見られなくなっていることが明らかになった。またこれまで使用していたマウスの週齢より高い週齢で、不安の指標となる高架式十字迷路試験を行ったところ、ノックアウトマウスで有意に高い不安傾向が観察された。このマウスが加齢に伴うストレス脆弱性を示す可能性が強く示唆され、うつおよび不安のモデルとなりうる可能性が考えられる。
初代培養神経細胞を用いた研究では、グルタミン酸・セロトニン・ノルアドレナリンによるCaMKIV活性化反応と、CaMKIVの基質である転写因子CREBのリン酸化反応を検討した。グルタミン酸によるCaMKIVの活性化とCREBのリン酸化は急激かつ一時的に生じ、刺激時間10分以降では不活性化された。一方セロトニンおよびノルアドレナリンによるCaMKIV活性化及びCREBリン酸化反応は、グルタミン酸刺激時とは異なる時間経過を示し、上昇した活性とリン酸化の持続傾向が観察された。細胞内シグナル経路を検討した結果、セロトニンによるCREBリン酸化反応は、刺激直後はCaMKIVとMAPKが、またMAPKは基礎レベルのCREBリン酸化も制御していることが示唆された。このように大脳皮質初代培養神経細胞で、モノアミン類によってCaMKIVの活性化とCIEBリン酸化反応が上昇することが、初めて示された。今後セロトニンおよびノルアドレナリンによるCaMKIV活性化とCREBリン酸化反応に、どのような受容体が関与しているのかを特定し、より詳細な分子機構を明らかにしたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Cardioprotective effect of vanadyl sulfate on ischemia/reperfusion-induced injury in rat heart in vivo is mediated by activation of protein kinase B and induction of FLICE-inhibitory protein.2008

    • 著者名/発表者名
      Bhuiyan MS, Takada Y, Shioda N, Moriguchi S, Kasahara J, Fukunaga K.
    • 雑誌名

      Cardiovascular Therapeutics 26

      ページ: 10-23

    • 査読あり
  • [学会発表] バナジウム化合物とメラトニンによるドパミン神経障害の保護効果2008

    • 著者名/発表者名
      笠原二郎、長井智史、澁谷正俊、荒木令江、岩渕好治、福永浩司
    • 学会等名
      第31回神経科学大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2008-07-11

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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