1.多くのがんでの不活化が示されているp53は、これまでに、p21によるCDK2/サイクリンEの活性調節を介した転写活性依存的中心体複製制御活性は知られていたが、転写活性非依存的な役割については、分かっていなかった。そこで、p53-/-マウス胎児線維芽細胞に細胞周期停止薬剤ミモシンを投与した中心体過剰複製アッセイにおいて、転写活性(+)中心体結合能(-)のp53変異体、転写活性(-)中心体結合能(+)のp53変異体、転写活性(-)中心体結合能(-)のp53変異体、および野性型p53の発現プラスミドを各々発現させ、中心体過剰複製をどの程度抑制できるかについて検討した。そして、その結果として、p53が転写活性非依存的中心体複製制御活性を有するという知見を得た。2.中心体サイクルにおいて重要な役割を果たすヌクレオフォスミンが、K230、K263においてSUMO化されることを明らかにした。そして、このヌクレオフォスミンのSUMO化が、ヌクレオフォスミンの細胞内局在、中心体複製、細胞増殖能、細胞生存活性を制御していることを明らかにした。3.細胞分裂期の紡錘体上に局在することが知られているEML4蛋白質が、ヒト非小細胞肺がんにおいて、2.6%(2/77例)の頻度で、チロシンキナーゼ活性を有するALKと融合蛋白質を形成していることを明らかにした。血液系腫瘍の一部で認められるNPM-、TPM3-、CLTC-、ATIC-、TFG-ALK融合遺伝子は、77例の非小細胞肺がんには、認められなかった。これらのことから、一部の非小細胞肺がん発生へのEML4-ALKの関与が示唆された。4.中心体局在配列発現ベクターとその変異体発現ベクターを構築した。
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