研究課題
他種生物においてRab7はリソソームヘの輸送あるいは後期エンドソームヘの融合を調節するRabであり、多くの生物においてゲノムに1種コードされている。赤痢アメーバではRab7アイソタイプが9種と多様化しており、その機能特殊性並びに多様性を明らかにする目的で、それぞれの細胞内局在を観察した。まず、それぞれのアイソタイプに特異的な抗体を作製し、定常状態の赤痢アメーバにおける細胞内局在を間接蛍光抗体法により観察した。リソソームはLysoTracker Redを用いて酸性化オルガネラを染色することにより可視化した。その結果、定常状態でリソソームに局在したRab7アイソタイプは、Rab7B, 7E, 7Gの3種であった。そのうち7Eと7Gはリソソーム以外の小胞にも存在した。アイソタイプ間の局在を観察する為に3HA-Rab7Bを大量発現する株を作製し、抗Rab7A抗体との共局在を観察したところ、Rab7B空砲の30%、Rab7A空砲の60%が互いに共局在していた。その他の空胞については、Rab7BとRab7Aは異なる空胞に局在することが分かった。Rab7Bの役割をさらに観察する為に、ドミナントネガティブ型を発現させたところ、酸性化したRab7B空胞の消失、リソソーム酵素の細胞外への分泌、リソソームの酸性度の低下が観察された。リソソーム酵素の細胞外への分泌はRab7Bに特異的であり、Rab7Aの変異型の発現では観察されなかった。赤痢アメーバの病原性を理解する上で、リソソーム酵素の輸送は非常に重要である。よって、赤痢アメーバは宿主に寄生するにあたって、リソソームヘの輸送系を多様化する必要があったのではないかと考えている。
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