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2008 年度 実績報告書

腸管出血性大腸菌の3型蛋白質輸送装置と協調的に発現する病原性遺伝子群の発現制御

研究課題

研究課題/領域番号 19790330
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

伊豫田 淳  国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (70300928)

キーワード腸管出血性大腸菌 / LEE / 遺伝子発現制御 / 3型蛋白質輸送装置
研究概要

腸管出血性大腸菌が保有する病原性遺伝子群LEE (locus of enterocyte effacement)の転写発現は、LEEにコードされるセントラルレギュレーターLerによって正に制御されている。Lerの発現は、同じくLEE領域内にコードされるGrlAおよびGrlRによって正および負に制御されている。これまでの研究から、GrlAはLerを介したLEEの発現制御のみならず、運動器官であるべん毛の形態形成や機能発現に関わる遺伝子の発現を負に制御することが明らかとなっている。これらの表現型は、いずれもGrlR欠損下でGrlAが脱抑制することによって起こる。我々はこのGrlR変異株をさらに解析する過程で、腸管出血性大腸菌が分泌する溶血素(エンテロヘモリシン)の活性が著しく上昇することを見出した。この表現型はLerとの二重欠損株でも同様に観察されるが、GrlAとの二重欠損株では消失することから、Lerの機能を介さずにGrlAに依存して見られる現象と考えられる。grlR欠損株ではGrlAが構成的に発現するため、Ehxの発現上昇に伴って血液寒天平板上で大きな溶血環を形成し、一方、低濃度寒天平板上で非運動性を示す。これら二つの表現型を利用して、GrlAの機能欠損変異株を自然発生的に単離した。その結果、べん毛およびEhxの発現制御能が欠損しているが、LEEの発現制御には影響のない突然変異株が複数単離可能であることが明らかとなった。さらに、大腸菌の実験室株を用いてLEE, Ehxおよびエンテロヘモリシンの発現制御について解析したところ、LEEの発現活性化のみが再現されることが判明した。以上の結果から、GrlAによるべん毛とEhx発現制御機構とLEEに対する作用機構は同じではなく、前者二つの制御には腸管出血性大腸菌に特異的な因子が存在する可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Changing Prevalence of Oserogroups and antimicrobial susceptibility among STEC strains isolated from healthy dairy cows over a decade in Japan between 1998 and 2007.2009

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi H., et al.
    • 雑誌名

      J Vet Med Sci 71

      ページ: 363-366

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Transcription of the ehx enterohemolysin gene is positively regulated by GrlA, a global regulator encoded within the locus of enterocyte effacement in enterohemorrhagic Escherichia coli.2008

    • 著者名/発表者名
      Saitoh T., et al.
    • 雑誌名

      J Bacteriol. 190

      ページ: 4822-4830

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Complete genome sequence and comparative analysis of the wild-type commensal Escherichia coli strain SE11 isolated from a healthy adult.2008

    • 著者名/発表者名
      Oshima K., et al.
    • 雑誌名

      DNA Res. 15

      ページ: 375-386

    • 査読あり
  • [学会発表] 腸管出血性大腸菌におけるLEEとエンテロヘモリシンの多重発現制御機構2010

    • 著者名/発表者名
      伊豫田淳
    • 学会等名
      第82回日本細菌学会総会
    • 発表場所
      名古屋市・名古屋国際会議場
    • 年月日
      2010-03-12

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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