C型肝炎ウイルス(HCV)による自然免疫システムの撹乱機構の解明を目的として行った研究において、以下のような成果を得た。(1)従来の報告とは異なり、NS3-4A蛋白質はTRIF蛋白質を切断しておらず、自然免疫機構の抑制はRIG-I/IPS-1経路に限定されていた。(2)NS5B蛋白質によるIFN-βの産生はTLR3経路およびRIG-I/MDA5経路の活性化、さらには両経路の下流の転写因子IRF-3の活性化を経て誘導されていた。(3)NS5B蛋白質によるIFN-βの産生誘導はTRAF3やTRAF6のノックダウンにより亢進することを示した。また、活性化されたIRF-3の調節にTRAF6が関与している可能性が示唆された。(4)PH5CH8細胞において、NS5Bは二本鎖RNAを産生していることを示した。これらの研究成果により、HCVはこれら分子との相互作用により自然免疫システムを撹乱している可能性が示唆された。
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