ポリオウイルス擬似粒子を用いてマウスに残存性ポリオ様麻痺を長期に渡って生じさせた場合の影響について解析した。前年までに確立した条件を用いてマウスに麻痺を誘導し、7"10ヶ月の間観察を行った。その結果、4.1×10^5感染単位のポリオウイルス擬似粒子を接種したメスのマウスにおいて、感染後5ヶ月以上経った場合に、活性の低下および新たな麻痺の発現が見られた。ポリオウイルス擬似粒子を接種したマウスを感染後7"10ヶ月に解剖したところ、肝臓、腎臓、脾臓、胸腺に異常が見られた。また、血液検査でもこれらの臓器が原因であると考えられる異常が確認された。現在、これらの異常における擬似ウイルス粒子感染の影響を確認している段階である。 ポリオ後症候群の発症に関与する宿主遺伝子群を同定することを目的とし、これまでに見出した新規抗ポリオウイルス阻害剤GW5074についての解析をさらに進めた。GW5074はRaf-1阻害剤として知られているが、前年までの解析によりRaf-1およびその他既知の標的キナーゼがGW5074のポリオウイルス複製阻害作用に関与していない可能性が示唆された。そこで、GW5074のターゲットを同定することを目的として、宿主細胞のキナーゼをターゲットとするキナーゼ阻害剤のライブラリーを用いて、GW5074の持つポリオウイルス複製阻害効果を促進する作用を指標としてスクリーニングを行った。また、同定されたキナーゼ阻害剤を用いて、ポリオウイルスの複製を合成的に阻害する活性を持つキナーゼ阻害剤のスクリーニングを行った。結果、GW5074と協調的に働くキナーゼ阻害剤として、MEK1/2阻害剤、EGFR阻害剤、PI3K阻害剤を同定した。さらに、GW5074の非存在下でこれらのキナーゼ阻害剤の活性を促進するキナーゼ阻害剤として、AKTI/2阻害剤を同定した。現在、これらの阻害剤の相互作用について解析を進めている段階である。
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