研究概要 |
本研究は,機能の解明されていないデングウイルス非構造蛋白質に焦点をあて,これらの蛋白質に相互作用する宿主側因子の探索と機能解析,および非構造蛋白質間の相互作用解析を行うことにより,非構造蛋白質と細胞側因子あるいは非構造蛋白質間のネットワークを明らかにすることにより,新たな創薬ターゲットを掘り起こすことを目的としている。 平成19年度はデング1型ウイルス非構造蛋白質NS1およびNS4Aと相互作用する細胞側因子の探索を行ってきた。はじめにNS1およびNS4AのC末端側にFlagと呼ばれる7アミノ酸からなるペプチドを融合させた蛋白質NS1FおよびNS4AFを発現するプラスミドを構築した。これを用いてヒト肝がん由来細胞Huh-7内で融合蛋白質を発現させた後,融合蛋白質を抗Flag抗体を用いて回収することにより,融合蛋白質と結合する細胞側因子を同時に分離した。NS1Fとともに精製された細胞側蛋白質を質量分析(MS)法により解析したところ,数種類のシャペロン蛋白質がヒットした。また翻訳に関わる蛋白質も同定された。現在これらの相互作用候補蛋白質とNS1との相互作用を個別に確認中である。一方,NS4AFについては,現在のところ相互作用因子候補の分離には至っていない。その他NS1については,そのグリコシレーション部位(アスパラギン)を他のアミノ酸に置換した発現プラスミドおよび感染性cDNAクローンを作製した。これらの用いた解析を行った結果,グリコシレーション部位のアミノ酸置換によりデング1型ウイルスの増殖が抑えられることを見出した(論文印刷中)。
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