本研究は、機能の解明されていないデングウイルス非構造蛋白質に焦点をあて、これらの蛋白質に相互作用する宿主側因子の探索と機能解析、および非構造蛋白質間の相互作用解析を行うことにより、非構造蛋白質と細胞側因子あるいは非構造蛋白質間のネットワークを明らかにすることにより、新たな創薬ターゲットを掘り起こすことを目的としている。 平成20年度は、前年度にMS解析により得られたデング1型ウイルス非構造蛋白質NS1と相互作用する細胞側因子候補が本当に相互作用因子であるかを、候補蛋白質に対する抗体を用いて検証した。しかしいずれの候補についてもNS1との相互作用を確認することが出来なかった。また平成20年度は、NS4A蛋白質の機能解析も行った。NS4AのN末端側にある50アミノ酸は細胞質に局在すると推測されているが、その意義については不明である。そこでリバースジェネティクス法によりこの細胞質ドメインを欠損させたゲノムを作製したところ、増殖能が消失した。また同じフラビウイルスである日本脳炎ウイルスの固ドメインに置換した変異ゲノムでも増殖能が回復しないことから、このドメインがウイルス側因子と特異的に相互作用することによりウイルス複製に関与する可能性が示唆された。さらにこのドメインをさらに細分化することにより、ウイルス種に特異的に作用する部位を絞り込むことに成功した。今後はこの細胞質ドメインと相互作用するウイルス側因子の固定を試み、機能の解明を目指す。
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