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2008 年度 実績報告書

粘膜固有層Tip-DCによるIgA生産誘導機構の解明とIgA腎症治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 19790353
研究機関秋田大学

研究代表者

手塚 裕之  秋田大学, 医学部, 助教 (30375258)

キーワードIgA / IgA腎症 / HIGAマウス / Tip-DC / plasmacytoid DC
研究概要

昨年度の成果(Nature 448 : 929-933(2007))に墓づき、平成20年度はIgA腎症自然発症(HIGA)マウスを用いて、IgA腎症発症機序ならびに高IgA生産誘導機構を明らかにすることを目的とした。
IgA腎症は腎糸球体メサンギウムへのIgA沈着に特徴付けられる疾病であるが、加齢(40週齢)マウスおいて、IgA沈着はHIGAマウスのみならず野生型 (C57BL/6J)マウスでも検出されたので、HIGAマウスにおける高IgA生産誘導機構に焦点を絞り、その解明を目指した。HIGAマウスの血清IgA量や小腸粘膜固有層のIgA^+形質細胞数は野生型マウスと比較して著しく増加していたが、バイエル板におけるIgA^+B細胞数に差は認められなかった。また、野生型マウス由来B細胞と比較してHIGAマウス由来B細胞では、in vitroにおけるIgAクラススイッチが著しく低下しており、なかでもT細胞非依存性クラススイッチを誘導する樹状細胞 (DC) 由来サイトカイン(APRILIBAFF)の刺激に対してIgAをほとんど生産しなかった。このことがら、HIGAマウスではDCの機能が低下していることが考えられた。この可能性について検証したところ、HIGAマウスでは全身性に従来型DC (cDC) が減少しており、さらに粘膜関連リンパ組織(MALT)のcDCはIgAクラススイッチの誘導に重要なレチノイン酸の合成酵素の活性も著しく低下していた。これに対して、HIGAマウスのMALTでは形質細胞様DC (pDC) の割合が増加していた。そこで、IgAクラススイッチ誘導におけるpDCの重要性を明らかにするために、野生型マウスの骨髄細胞から誘導したpDCおよびcDCをB細胞と共培養した。興味深いことに、pDCはcDCよりも効果的にIgAクラススイッチを誘導することが判明した。以上の結果から、HIGAマウスにおける高IgA生産誘導機構には、pDCが重要な役割を演じている可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Effective clearance of intracellular Leishmania major in vivo requires Pten in macrophages2008

    • 著者名/発表者名
      Kuroda, S.
    • 雑誌名

      Eur. J. Immunol. 38

      ページ: 1331-1340

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 腸管における樹状細胞のトラフィッキングとIgA生産誘導機構2008

    • 著者名/発表者名
      手塚裕之
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科 49

      ページ: 10-15

  • [雑誌論文] IgAクラススイッチを誘導するバイエル板樹状細胞2008

    • 著者名/発表者名
      手塚裕之
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科 50

      ページ: 216-221

  • [雑誌論文] 腸管粘膜樹状細胞によるIgAクラススイッチ制御-腸内常在菌の役割2008

    • 著者名/発表者名
      手塚裕之
    • 雑誌名

      医学めあゆみ 227

      ページ: 326-331

  • [雑誌論文] 腸管でのIgA生産を司るTNF/iNos生産性樹状細胞とその機能2008

    • 著者名/発表者名
      手塚裕之
    • 雑誌名

      生体の科学 59

      ページ: 268-274

  • [雑誌論文] 消化管粘膜での免疫応答における樹状細胞の役割-小腸粘膜樹状細胞によるIgAクラススイッチ制御2008

    • 著者名/発表者名
      手塚裕之
    • 雑誌名

      実験医学 26

      ページ: 3236-3242

  • [雑誌論文] 樹状細胞によるIgA生産誘導機構の新知見2008

    • 著者名/発表者名
      樗木俊聡
    • 雑誌名

      炎症と免疫 16

      ページ: 209-214

  • [雑誌論文] 粘膜樹状細胞によるIgAクラススイッチ誘導機構2008

    • 著者名/発表者名
      安部由紀子
    • 雑誌名

      感染・炎症・免疫 38

      ページ: 271-273

  • [学会発表] Regulation of IgA production by natural ly occurring TNF/iNOS-producing dendritic cells2009

    • 著者名/発表者名
      Tezuka, H.
    • 学会等名
      The 4th Stage Surface Barrier Immunology Study Group (SBARIS) 1 st Meeting 「Immune Response at Mucosal Surface」
    • 発表場所
      Tokyo
    • 年月日
      2009-03-06
  • [学会発表] 腸管粘膜組織におけるIgA生産調節機構2008

    • 著者名/発表者名
      樗木俊聡
    • 学会等名
      第31回日本分子生物学会年会・第81回日本生化学会大会合同大会シンポジウム「血球細胞の分化系譜」
    • 発表場所
      神戸(招待講演)
    • 年月日
      20081209-14
  • [学会発表] Regulation of mucosal IgA production by dendritic cells2008

    • 著者名/発表者名
      Ohteki, T.
    • 学会等名
      第38日本免疫学会学術集会Simposium 5 Dendritic cell
    • 発表場所
      京都(招待講演)
    • 年月日
      20081201-03
  • [学会発表] Critical role for pDCs in mucosal T cell-independent IgA production2008

    • 著者名/発表者名
      Tezuka, H.
    • 学会等名
      第38日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20081201-03
  • [備考]

    • URL

      http://www.med.akita-u.acjp/Aisei/Defaulthtml

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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