研究課題
〈研究の目的〉申請者らが同定したペア型レセプター(PILR)は、樹状細胞に発現する抑制化レセプターであるが、そのリガンドとしてT細胞上のCD45を認識することを質量分析解析により明らかにした。CD45はノックアウトマウスの解析などより、リンパ球の活性化制御および分化に重要な分子であるが、現在までに機能的なリガンドは明らかにされていない。しかし、PILR-Igキメラ分子は、CD45トランスフェクタントに非常に強く結合した。したがって、PILRとCD45の相互作用を中心に研究を推進することにより、PILRを介した新たな免疫制御機構が明らかになることが期待できる。PILRが自然免疫と獲得免疫との相互作用にどのように制御しているかを解明することを目的とする。〈平成19年度の研究成果〉CD45とPILR-lgキメラ分子の結合を詳細に解析するため、PILR-Igキメラ分子とCD45の結合を阻害するCD45に対するモノクローナル抗体を新たに作製した。この抗体を用いた結果、CD45トランスフェクタントだけでなく、マウス末梢CD8T細胞上のCD45とPILR-Igが特異的に結合していることを証明できた。さらに、CD45-PILRの相互作用によって惹起される免疫応答を解析するため、抗CD3抗体およびPILR-Igキメラ分子を固相化し、T細胞の増殖および活性化について解析を行った。その結果、PILR-Igの固相化により、コントロール-Igキメラ分子と比較して、CD8T細胞の増殖および活性化マーカーの顕著な増強が確認された。一方、PILR-Igキメラ分子と結合しないCD4T細胞では全く差が認められなかった。以上の結果より、PILRはCD8T細胞上のCD45と結合することにより細胞増殖および活性化を正に制御させる働きがあると示唆された。平成20年度は、PILRとCD45を中心に研究を推進することにより、シグナル伝達を含めた新たなCD8T細胞の免疫制御機能について明らかにする予定である。
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