研究概要 |
一般的に細胞内抗原は. ユビキチン-プロテアソーム系で分解された後, 小胞体を経由してMHCクラスI分子によって提示される。しかし, 細胞内のある種の内在性タンパク質はMHCクラスIIによっても提示されることが知られていた。そして2005年Munzらにより, 胸腺における自己寛容の成立機構にオートファジーが重要な役割を果たしていることが示唆された。そこで, 本研究の目的は, オートファジーがどのように自己寛容の成立に関与しているかを明らかにすることにある。 平成19年度, 我々は, E1様酵素であり, オートファゴゾームの形成に必須であるAtg-7のノックアウトマウスの胎仔胸腺をヌードマウスに移植する実験を行ったが, レシピエントマウスに自己免疫疾患の発症は観察されず, また, 制御性T細胞の産生などにも異常は認められなかった。一方, Atg-12と複合体を形成し, 隔離膜の伸長に関与しているAtg-5ノックアウトマウスを用いた同様の実験では, 内在性自己抗原の提示に異常が認められている。そこで, 本年度はAtg-7, Atg-5さらにAtg-7と結合するAtg-3, Atg-7と同じE1様酵素であるAtg-8を、それぞれあるいは複数同時にRNAiにより発現抑制を行い, CD4陽性T細胞クローンによる認識効率の低下が認められるか否かを検証する。現在、RNAiを行うためのコンストラクションを作成し、実際に発現がノックダウンされることをHeLa細胞で確認した。今後、実際にCD4陽性T細胞クローンによる認識効率の低下の有無を検証し、オートファジーのどのプロセスが内在性自己抗原の提示に重要なのかを検討する。
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